| 町田 栗 スイーツ ケーキ | 実り菓子 栗のみ堂

本日13時より営業します
主に焼菓子を、焼き足しながら包みながら営業します

最終営業となります

🍊オレンジのタルト🍊

空焼きしたタルト生地に、オレンジピールとオレンジ風味のフランジパーヌクリームを敷き、フレッシュの清美オレンジを乗せて焼き上げました。
『オレンジよりオレンジを楽しめるタルト』なんじゃないかなと。

これは、ちょうど20年前の今頃に受けたレストランの面接で、40分位お話していた間にシェフが出してくださったタルトでした。

私が中高の部活でテューバ吹きだった事を話すと、僕も若い頃トロンボーン奏者でね、その後27歳の時料理の道へ入ったんだよ、今は倉敷のジャズバンドで楽しんでいるよ、などと色々お話ししつつ。
タルトの感想を聞かれて『タルト生地がちゃんと焼けていないお店が結構多いのが残念で、でもこちらはしっかり焼き込まれていてどこを食べてもオレンジを楽しめて本当に美味しいです！』と答えた事を思い出します。

その後入社してデザートを作る中で、シンプルで本当に美味しいレアチーズタルトやティラミスなどを学び、自分自身・厨房環境・材料などのコンディションで味が変わってしまう事に責任を感じ。
新しいデザートを悩み考える度に、技術だけでなく自分にはまだまだ『自分の中の美味しい』引き出しが足りていない事を思い知り。
そんな時にシェフが『美味しいものは結局自分で考えて作るしかない』とおっしゃり。
真似、習い、学び。結局は試行錯誤しかないと。ハタチそこそこの社員にお店の材料を試作用にかなり自由に使わせて下さり。

未熟な私を信じて見守って下さった内田賢英シェフ。
2ヶ月ほど前に病気で亡くなっていたと、当時の先輩から連絡を頂いたのは数日前の事。

当時のシェフや同僚、お客様との事を思い出し、そういえばここ半年位は連絡を取れていなかったな、もう8年位は会っていなかった？と後悔。

今さら何が出来るでもないけど、ちょっと自分の気持ちを整理するために、休業前にこのタルトを作ろうと思ったわけです。

使う素材やレシピは今の自分のものに変えていますが、それこそが、20年経った『自分の中の美味しい』なのだと。

子どもが無事産まれれば、ハタチになるまであと20年。
良い方へ変化をしていく姿を見せられるよう、がんばります。